究極の英語学習法 入門編

究極の英語学習法K/H System (入門編)

究極の英語学習法K/H System (入門編)

シャドーイングを通した英語トレーニング本なのだが、シャドーイングの指南本といっても差し支えなさそうな本。シャドーイングというと表面的には音声を聞きながらそれを真似てつぶやくことだ。そのテクニックを、単に音を聴き取るレベルから自分の表現として身につけるレベルまで徹底的に活用しましょう、という内容。同じつぶやきでも、その裏で働かせる意識を変えることで効果も違うということだ。
訓練のステップはおおよそ次のような感じ:

  • 音を捉える訓練
    • 複数形のsや冠詞、前置詞も含めて正確に発音する
    • リズム、強弱、意味の固まりを意識する
  • 音から意味を取り出す訓練
    • 意味の区切りを捉える
    • 構文を捉える
  • 自分のものにする訓練
    • 自分が話しているような感じがするまでやる
    • 文単位で再生できるようになる

まあ、同じ音声をうんざりするほど繰り返して聴いて(そして真似して)いれば、いやでもこのようなステップで学習は進行しそうな気がしなくもない。
とりあえず二週間この本に従ってやってみた感想:

  • 英語の口の動きを鍛える訓練になる
  • 自分の声を録音して再生したものを聴くと、「こりゃなんとかせなあかん」という自覚が芽生える
  • 同じ音声を聞き続けていると次第に細かいことに注意が向けられるようになって、英語が堪能な人の気分をちょっと味わえる
  • 聞き取りのフェーズは参考になる情報が多かったが、意味理解のフェーズは単なる英文解釈で、かつ「同時通訳の訓練がベースとなっている」ことの事情がにじみ出すぎているような気がする。
  • 本がなんだかとても使いづらい&読みづらい。もっとすっきり手短に書けたんじゃないかと思う。
  • 付属CDの男性の声にちょっとだけ不快感を覚える(失礼)

個人的には意味理解のフェーズで日本語に落としこむ訓練をすることに抵抗を覚えたが、さすがによくある質問のようでコラムで回答していた。しかし、日本語に落とす訓練は同時通訳者の訓練にはなっても、一般の英語学習者にはさほど役に立たないんじゃないかと思ってしまう。イメージをキープするには日本語にした方がよいとあったが、英語から直接想起したイメージを英語表現とセットで記憶に残すような訓練にできないものかと思った。
と、不満を書いてみたものの、この通りやれば上達するとは思う。少なくとも

  • 詳細を漏らさず100%真似してシャドーイングできるまでやる
  • 同じ音声素材を何十回、何百回と繰り返す

ことはよい訓練になると感じた。同じ音声を繰り返し聞くといろんなことに気がつくようになり、「聞きとりの際の注意の払い方」がつかめてくるし、100%真似しようとすると日本語風発音では舌が回りきらなかったりして、発音を修正せざるを得なくなるのだ。
そんなわけで、有用な情報の多い本ではあったのだが、全面的にこの通りにやり続けようという気にはなれていない。それで、よいと思ったところだけを参考にさせてもらおうと思っているのだが、教わる側が勝手にアレンジしてもろくなことにならないというのはよくある話・・・。



ところで「単語耳」に単語の習得順序は「発音」「意味」「スペル」「使い方」の順だと書いてあったが、最近は「音から入れ」というのが主流になっているのだろうか。それとももともとそれが理想だったのが、パソコンやiPodなどの普及で誰もが実践可能なものになってきたということなんだろうか。
単語耳 英単語八千を一生忘れない「完全な英語耳」 理論編+実践編Lv.1