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華氏911ボウリング・フォー・コロンバインなどのドキュメンタリー作品で知られるマイケル・ムーア監督の映画で、アメリカの医療制度の破綻っぷりを描いている。

アメリカには国の医療保険制度がなく、各人がそれぞれの意志で民間の保険会社に加入しているのだが、アメリカの人口約3億人のうち5000万人もの人がお金がないために保険にすら加入していない。そのこと自体もGNP世界一の国としては信じがたいことなのだが、この映画は「保険に加入できている人たちですら満足に医療を受けられていない」というさらにビックリな現実に焦点を当てている。

アメリカには住みたくないなとつくづく思う。が、日本の医療制度もアメリカに追従させられかねないので他人事として笑っていられない。


911の現場で救助活動に参加して呼吸器系などを患ったのに満足な医療も受けられずに苦しんで生活している人たちを引き連れて、キューバに行くくだりがある。詳しいことはネタバレになるので書かないが、ここは泣けた。



映画の中でフランス在住のアメリカ人が、フランスでは政府が国民を恐れている、アメリカでは国民が政府を恐れている、と言っていたのが印象に残った。