SAYURI

チャン・ツィイーはめっちゃ美人というわけでもなく,それを補って余りある何かがあるのかどうかも僕にはよくわからない。なぜこの人が今ハリウッドでいちばん活躍する中国人女優となったのだろう。とある中国人もチャン・ツィイーはハリウッド映画に出るようになってから中国本土の俳優を見下すようになったから嫌いだって言ってたし。ところでこの人の初期の出演作に「初恋の来た道」というのがあるのだが,「気分は上々」というテレビ番組でウッチャンだかナンチャンだか忘れたが,熱く語っていた記憶がある。山奥の村に赴任した教師に対する少女の恋を描いたものらしい。

そんなことはともかく,ハリウッドが芸者の映画を作り,主演が中国人で,日本人どうしが英語をしゃべりまくり,というなんとも胡散臭い映画がこのSAYURI。ただ,舞台が第二次世界大戦前後の花街というこれまた僕にはよくわからん世界なもんで,そこでアジア人が英語だけで会話するのも怪しさを増幅する演出のように思えてくる。だから日本を舞台にした映画ではなく,日本に似ているけれどなんか違う架空の世界を舞台にした映画という感じ。

花街は女の競争社会で,基本的に女どうしはギスギスしている。サユリとおカボ(英語ではPumpkinと呼ばれていた)は子供のころから同じ置屋で暮らしていて仲良しだったが,サユリは豆葉に,おカボは初桃について行動するようになってから二人の間にも距離が生じはじめ,置屋の跡継ぎ争いで決別する。戦後におカボと再会し,後継ぎ争いのゴタゴタの件について謝り,おカボはもう気にしていないと言うが,その後おカボにはめられて精神的にどん底に落ち込むことになる。さあ,これからどうなる? と思ったら・・・急転直下のハッピーエンド。

豆葉に師事して芸を学び,舞台で主役を務めるようになるまでの成り上がりっぷりは痛快です。その後には女どうしの足の引っ張り合いが待っているのですが・・・。華やかさと息苦しさが詰まった映画でした。